有料老人ホームの
M&Aについて
有料老人ホームとは
有料老人ホームなど民間の高齢者向け施設は1960年代から存在しています。もともとその多くは住宅や食事の提供などを主な目的とするもので、介護サービスを前提にしたものではありませんでしたが、介護保険制度創設時にこうした状況に注目が集まり、制度化されたのが特定施設入居者生活介護です。一定の基準(設備や人員配置等)を満たした施設の居室を高齢者の自宅とみなすことで、その施設のスタッフによる介護サービスを介護保険の居宅サービスと位置づけ、特定施設といいます。具体的には有料老人ホームや養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅などがこの対象となります。
そのうち有料老人ホームは民営運営の老人ホームで、大きく3種類に分かれています。「介護付有料老人ホーム」は医療体制が充実し、食事、入浴・排泄など介護全般が受けられる施設。「住居型有料老人ホーム」は自立可能な高齢者が対象で、介護サービスが必要となった場合は在宅介護保険サービスの利用が可能です。「健康型有料老人ホーム」は自立生活が可能な高齢者向けの施設です。
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有料老人ホームを取り巻く環境
要介護高齢者の増加
日本の高齢化は世界に類をみない速さで進行しており、2025年には高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は30%を超えると言われています。介護保険の対象となる要介護(要支援)の高齢者数も介護保険制度が開始した2005年の218万人から、2016年には630万人と約3倍まで増加しており、団塊世代が後期高齢者になる2025年には800万人を超えると言われ、要介護(要支援)の高齢者は今後も急速に増加することが見込まれています。
介護給付費の急激な膨張
このような要介護高齢者数の増加に伴い、2000年の介護保険制度の開始時には3.6兆円だった介護給付費は、2016年には9.6兆円まで増加しており、2025年には21兆円にまで膨張することが見込まれています。
このような中で、年金・医療も含めた社会保障制度の持続可能性が問われており、国の厳しい財政事情からも、介護給付費の抑制は喫緊の課題となっています。
介護報酬の改定動向
2015年度の介護報酬改定はマイナス2.27%と2006年のマイナス0.5%の改定以来、9年ぶりのマイナス改定となりました。ほぼすべての介護サービスの基本報酬が引き下げられ、グループホームについても基本報酬がマイナス5.58%と大きな減額となりました。これは基本報酬全体の改定率である4.48%を上回る減額でした。
2018年の介護報酬改定においても、介護報酬の大幅な引き下げはなかったものの、医療との連携を求める報酬改定となっており、医療機関との連携ができない介護事業者にとっては厳しくなっていくことが予想されます。
施設数の増加と今後の展望
上述のように、今後の大きく経営環境の変化を受ける可能性が高い有料老人ホーム事業ですが、介護保険制度開始以降、施設数は一貫して増加を続けています。
介護保険制度開始直後の2000年時点では約150施設であったものが、2013年時点で有料老人ホームの数は全国で8,499施設まで増加しており、直近では年率12%超のペースで増えています。また、総定員数も2000年の1万6千人から2013年には約35万人となっております。
このように老人ホーム数は増えていますが、一方で、膨張する介護給付費を抑制するため、老人ホームの新設については総量規制がかかっており、急増を続ける高齢者に対して圧倒的に施設数・定員数が足りていいない状況にあります。そのため、多くの有料老人ホームにおいて、入居待ちの高齢者が多数出ている状況にあり、一般的な有料老人ホームの入居率は90%弱という高い数値で推移しています。
このように施設数が増加していることを鑑みると、報酬改定による単価上昇の抑制が行われることが想定されるため、医療機関との連携が急務と考えられます。
介護人材不足
少子高齢化を受け、人材不足が叫ばれる労働市場ですが、特に介護業界は賃金水準が低く、肉体労働や夜間勤務など労働環境が過酷であるため、人材確保が恒常的に難しい業界です。
また、施設間の介護資格保有者の争奪戦も激しさを増しており、苦労して採用してもすぐに辞めて転職してしまうという離職率の高さと再度募集を行うことによって発生する人材紹介会社に対する広告料も収益を圧迫する要因となっております。
さらに需要と供給により決定される派遣社員の時給は今後も上昇していくとみ込まれます。
冒頭でも記載した通り、職員数については特定の人員配置基準(看護職員と介護職員の総数が入居者当たり1人以上置かれていること、看護職員は30人当たり1人以上置かれること等)を満たさなければ認定されないことから、介護従事者の獲得が困難となっている施設も出てきております。
有料老人ホームのM&Aの現況
有料老人ホームの売り手
上述のとおり、人手不足による稼働率の低下やコスト増による収益の圧迫により、老人ホームの経営が困難になる事業者様や、将来性を考えると後継者の選定に難航してしまう事業者様からのご相談が多く寄せられております。
有料老人ホームの買い手
規模の大きい医療法人様から介護医療院への転換を見越し、M&Aを行いたいというご相談をいただいております。また規模の大きい介護事業者様は地元地域で人員の確保が比較的容易であることから競争力を活かし、規模を大きくするためにM&Aを行っていくというご要望をいただいております。
有料老人ホームM&Aの特徴
有料老人ホームのM&Aでは拠点の営業権を事業譲渡する場合、土地・建物は譲渡対象としないことも可能です。この場合は、買い手は土地・建物を賃貸借することになるため、売り手が土地・建物のオーナーである場合、有料老人ホーム事業の売却後も継続して賃料収入を得ることが可能となります。
ただし、もちろん土地・建物も併せて売却することも可能です。
有料老人ホームの売却価格の相場
各業態により評価の仕方が変わってくるため、当社の自動簡易査定を是非お気軽にお試しください。
なお土地建物も含めて譲渡した場合や、利用者の利便性が高い立地に位置しているかによって実際の査定額は変わってまいります。詳細について査定をご希望される場合は、当社までお気軽にお問い合わせください。
老人ホーム売却のメリット
売り手にとって、有料老人ホームの売却は以下のような悩み事から解放されるメリットがあります。
- 資金繰りが厳しく投資を考える余裕がない
- 小規模運営なので、投資負担や人材確保について限界がある
- 個人で債務保証を行っているが、事業とともに個人の先行きが不安
- 自身と社員の雇用を確保するために、資金力や組織力のある大手企業の傘下に入りたい
- 自社の介護事業部門や子会社を売却することで選択と集中を進め、本業に専念したい
- 健康問題や高齢のために、早急に事業を引き継ぎたいが、後継者がいない
- 創業者利益を獲得したい
上記お悩み事について介護業界M&A実績No.1の当社が解決いたします。是非お気軽にご相談ください。