速水の眼

2022-01-31 介護M&Aコラム Vol.16

【速水の眼】買い手から見た、買いたい会社の条件とは

事業承継・M&Aの仕事をする中で、よく寄せられる質問として、「売り手と買い手のどちらが多いですか?」というものがあります。

現在弊社に介護・福祉事業を譲り受けたいとして登録されているのが約7000社、介護・福祉事業を譲渡したいと登録されているのが約200社程度になります。これだけ聞くと、買い手の数が35倍もあることから「売り手市場ですか?」となりますが、それほど単純ではなく、エリアや業態、規模感、運営状況によっても譲り受けニーズは異なりますので、何十社と譲り受け候補が手を挙げる案件もあれば、買い手を見つけるのに時間を要する案件もあります。

それでは、買い手から見た、買いたい会社の条件とは何でしょうか?
買い手のニーズとしてよくお聞きするのは、2ユニット以上のグループホームや50床以上の特定施設などですが、昨年当社の仲介によって承継が成立した会社の中で、問合せ・資料請求の多かった案件を中心に分析をしてみたところ、興味深いことがわかりました。

一番人気の案件は、50件の問合せ・資料請求のあった神奈川県の25床のサ高住。規模感的には決して人気の業態ではありませんが、大都市圏という好立地、安定した収益性、短い投資回収期間という好条件に加えて、譲渡希望価額も2000万円と手を出しやすい価格帯であったことが要因でした。

また、続いて人気のあったのは、大阪市の20名デイ・訪問介護併設の住宅型有料老人ホーム(9床)でした。こちらもかなり小規模ではありましたが、大都市圏という好立地、デイの稼働率が5割程度と大きな伸び代があることに加えて、売り手がスピーディーな譲渡を希望されていたことから、のれん代を求めず純資産のみのリーズナブルな希望価額であったことが要因でした。

そのほかにも問合せの多かった上位10社をまとめると、次のような特徴があります。
①大都市圏に立地
②短い投資回収期間
③事業収支が安定
④手を出しやすい価格帯
⑤経営者が現場に入っていない
⑥スタッフの雇用継続可能性が高い

グループホームや特定施設、訪看等は依然人気ですが、収益性が高いとその分、譲渡希望価格も高くなりがちで投資回収までの期間も長くなります。

今後も報酬改定や採用難で先行き不透明な介護・福祉業界において、比較的人気のない業態であっても投資回収までの期間が短い等、投資回収の確実性が高い場合には、買収候補として注目されていることがわかります。

最終的には対価も含めた譲渡の条件は買い手との交渉で決まりますので、しっかりと買い手のことを知ることが重要になります。少しでもよい事業承継を目指すのであれば、より多くの選択肢の中から、希望により合致した後継者を探すことが成功の秘訣なのではと思います。

より詳しい買い手の分析については、オンラインセミナーでも行っていますので、ご興味ある方は是非ご覧ください。

【速水の眼】買い手から見た、買いたい会社の条件とは

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