速水の眼

2022-01-11 介護M&Aコラム Vol.15

【速水の眼】事業承継の選択肢

最近、事業承継に関するセミナーをさせて頂く機会が多く、毎回多くの経営者の方が熱心に参加されるのですが、最後にお聞きするアンケートで、7割以上の方が今後の承継方針について「未定」と記載されています。

帝国データバンクの全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)によると、「コロナ禍で事業環境が急激に変化するなか、高齢代表の企業を中心に後継者決定の動きが強まった。」とあるものの、依然として6割以上の企業においては後継者が不在とされています。

中堅・中小企業の経営において、オーナー社長の果たす役割はとても大きく、いわゆる社長業としての「経営権の承継」のみならず、所有資産としての「株式の承継」や、信用補完としての会社借入への「連帯保証の承継」、理念や採用力等の「知的資産の承継」等を総合的に引き継ぐ必要があるため、事業承継は容易ではなく、念入りな準備が必要です。

しかし、実は承継の方法には余り多くの選択肢がありません。

前述の調査によると、現在1番多いのが同族承継で全体の38%、2番目に多いのが従業員承継で31%、いわゆるM&Aである第三者承継は全体の17%となっています。

【同族承継(親族内承継)】
現経営者の子供や配偶者などの親族を後継者にする方法で、その他の方法に比べ、従業員や取引先等の関係者に受け入れられやすく、所有と経営の一体的な承継が可能です。

ただ、後継者となる方の、経営者としての資質や、連帯保証への覚悟が問われます。また、引き継いだ事業に対する思い入れがない場合には、サービスの質が低下し、悲惨な事故を引き起こしてしまうケースもあるため、現経営者の方でも親族への承継に慎重になるケースも増えてきています。

【従業員承継】
自社の役職員を後継者とする方法で、仕事ぶりを把握した上で選ぶことができ、経営方針の一貫性も保ちやすいです。
ただ、創業者のお眼鏡にかなう適任者は中々おらず、仮にいたとしても資産背景に乏しく、候補者を見つけることは容易ではありません。

【第三者承継(M&A)】
社外の第三者に経営権を売却することで、候補者を広く外部に求めることができるため、資金力のある方や経営力のある方等、希望に応じて選定できる上、現経営者は売却の利益を得ることができます。

従業員や利用者のことを考えると、知らない人に経営を引き継ぐよりは、よく知っている親族や従業員を後継者とする方が安心されるのでは、と考える経営者もまだまだ多いのではと思いますが、前述したような問題点をクリアできるような方がいない場合には、「未定」といっても現実的には第三者承継しか選択肢は残っていないとも言えます。

また、少しでもよい承継を目指すのであれば、より多くの選択肢の中から現経営者の希望により合致した後継者を探すことが成功の秘訣なのではと思います。

当社では6700社以上の買い手希望リストから、適切なマッチングを図っていますので、是非お気軽にご相談ください。

【速水の眼】事業承継の選択肢

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