速水の眼

2020-08-28 介護M&Aコラム Vol.12

【速水の眼】ウィズコロナで介護M&Aはどうなったか?

コロナ禍はM&Aにどのような影響を与えているのでしょうか?

今年4月頃の予想では、コロナ禍で景気が悪化、買い手企業の体力が落ち、M&Aの意欲が減退するとの見通しが有力でした。実際に、飲食やアパレル業界では、売上が大幅に落ち、大手企業の買収意欲が大きく減退するとともに、売却店舗の評価額も大きく下落しているところが多いようです。

翻って、介護業界を見てみると、緊急事態宣言が発令されていた4月から5月前半は少し様子見スタンスの会社もありましたが、緊急事態宣言が解除された5月後半から6月になると、今まであまり買収に積極的でなかったような会社からも、買収の相談が寄せられることが多くなり、また様々な業態の会社から、昨年を上回る数の売却相談が寄せられるようになりました。

結果として、当社の4月~6月のM&A成約数は昨年同期比でおよそ1.5倍(当社実績比)と大きく増加しており、個別の事業評価額にも大きな影響はありません。

一体、何が起こっているのでしょうか?
詳細に見ていくと、まず買い手は大きく3つのタイプに分けることができます。

1つ目は、積極買収継続タイプ。元々積極買収スタンスであり、ウィズコロナの状況においても、適切な対策を取ることで、コロナの影響を最小限に抑えつつ、積極的にドミナントエリアを拡大・拡充し、経営効率の改善を進めています。

2つ目は、地方の雄タイプ。地元で盤石な基盤を有しているため、元々は買収に対しては、よほどお眼鏡にかなうもの以外は、自社で新設した方がいいという堅実スタンスであったものの、コロナの影響を踏まえて、リスク分散、経営効率の改善を進めることの必要性を痛感して、積極買収スタンスに転換した企業が増えています。

3つ目は、介護回帰タイプ。介護事業を含めて様々な事業を複合的に展開されている企業で、元々は介護事業の収益性の低さから、介護以外の新規事業を模索していたものの、コロナ禍の中での介護事業の安定性を再認識し、介護回帰となっているパターンです。

それ以外にも、上場を目指して規模拡大を図る企業や、香港国家安全維持法の施行を受けて 中国や香港から逃避したマネーを積極的に介護業界に投資する企業も増えてきています。

一方で、売り手は以下の3つのタイプが典型的です。

まず1つ目は、早期撤退タイプ。介護業界の大きなトレンドを踏まえて、利益の出ているうちに売却検討を進めることを、コロナ以前からの大方針として選択されていたパターン。

2つ目は、介護切離しタイプ。外食や旅行、鉄道輸送等の本業が大きくコロナ禍の影響を受ける中で、本業以外の切り離し策の一環で、介護事業の売却を行うパターン。

3つ目は、個人商店タイプ。元々社長が現場に入ることで何とか会社を回していたところ、コロナ禍を受けて、感染対策や資金調達、助成金の調査等、様々な経営管理業務が一気に増え、雇われ社長として事業継続を希望されるパターン。

何を本業と捉え、何を守るべき事項とするかで対応策は異なりますが、介護業界においては、コロナとは別に、もともとの厳しい外部環境、すなわち、①競争激化、②採用難、③介護保険切り下げの三重苦の下での、『拡大』又は『撤退』の二極化の圧力が強く、その中で先送りにされてきた大きな決断が、コロナ禍の中でいよいよ迫られてきているというのが、実感です。

弊社では、業界動向やエリア特性を踏まえて、『拡大』か『撤退』か、どちらに進むべきかのアドバイスも行っておりますので、是非お気軽のご相談ください。

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