グループホームの
M&Aについて
グループホームとは
グループホーム(共同生活住居)は認知症を持つ高齢者の方を専門に受け入れる小規模介護施設です。地域密着型サービスの一つで、要介護認定を受けた高齢者の方が、住み慣れた地域で生活を継続できるようなサービスを提供しています。入所施設ではなく居宅施設に位置付けられます。
グループホームでは定員は5人以上9人以下を1ユニットとして2ユニットまで(用地確保が困難な地域では3ユニットまで)、原則個室、さらに1ユニットごとに今・食堂のスペースを設けることが要件となります。また地域住民との交流を図ることができるよう、住宅地に設置されることが基本です。
グループホームは認知症を持つ高齢者の方に特化した介護施設のため、入居するには、65歳以上であること、要支援2又は要介護1以上の認知症患者であること、及び施設と同一地域内の住人であることが必要となります。
職員数については、入居者3人に対して1人以上の介護職員が必須であり、夜間・深夜の時間帯にはユニットごとに1人以上の夜勤が従事していなければなりません。また、事業所ごとに1名以上、介護支援専門員かつ認知症介護実践者研修を修了している計画作成担当者が置かれる必要があります(2名以上配置している場合はいずれか1名が介護支援専門員であれば問題なし)。なお、看護職員の配置規定はありません。
グループホームを取り巻く環境
グループホームの経営環境
グループホームの経営状況の特徴として挙げられるのはその利用率の高さです。
利用率がいずれのユニットにおいても90%以上と高く、利用者の確保に困っている事業者は少ない傾向にあることが見て取れます。一方で、利用率が高いにも関わらず1ユニットの40%、2ユニットの30%は赤字になっている点は非常に特徴的です。
単位 | 1ユニット | 2ユニット | 3ユニット以上 | |
---|---|---|---|---|
施設数 | - | 756 | 1,379 | 94 |
定員数 | 人 | 9 | 18 | 27.7 |
利用率 | % | 95.8 | 95.3 | 93.4 |
待機登録者数 | 人 | 7.7 | 8.7 | 6.7 |
要介護度 | - | 2.63 | 2.6 | 2.65 |
介護職員処遇改善加算(Ⅰ)算定率 | % | 93 | 93.4 | 97.9 |
看取りの状況(体制整備率) | % | 39.9 | 53.4 | 54.3 |
利用者単価 | 円 | 13,177 | 13,456 | 13,706 |
1 施設当たり従事者数 | 人 | 7.9 | 15 | 22.7 |
うち介護職員数 | 人 | 6.6 | 12.9 | 20.1 |
うち介護職員数 | 人 | 7.63 | 7.56 | 7.76 |
人件費率 | % | 72.5 | 68.8 | 69 |
経費率 | % | 20.7 | 21.7 | 25 |
うち業務委託費率 | % | 2.1 | 2.3 | 3.7 |
うち地代家賃率 | % | 1.7 | 2.4 | 3.6 |
減価償却費率 | % | 4.4 | 4.9 | 3.2 |
サービス活動増減差額比率 | % | 1.9 | 4.1 | 1.8 |
経常収益対経常増減差額比率 | % | 2 | 4.1 | 1.9 |
従事者 1 人当たりサービス活動収益 | 千円 | 5,239 | 5,612 | 5,688 |
従事者 1 人当たり人件費 | 千円 | 3,797 | 3,862 | 3,926 |
赤字施設割合 | % | 40.1 | 33.2 | 43.6 |
表1 福祉医療機構「2021年度(令和3年度)認知症高齢者グループホーム(GH)の経営状況について」より
高い利用率の背景には、人口に占める高齢者の割合に比例して増える認知症患者に対して、グループホームの新設については総量規制がかかっており、簡単に施設を増やすことが出来ない環境にあることが考えられます。
グループホームの施設数自体は、介護保険制度開始直後の2000年時点では675施設であったものが、2021年時点でグループホームの数は全国で14,085施設まで増加しており、直近では年率3.8%のペースで増えています。また、総定員数も2000年の5千人から2014年には18万人を超えています。
一方で、高齢者の5人に1人(約700万人)が認知症になると見込まれる将来において総定員数18万人では圧倒的に数が足りておらず、グループホームの利用においては表1にあるように待機者が複数出る事態になっています。
今後の展望と事業者の課題
一方で、グループホームの赤字原因の大きな理由の一つに人材確保の困難さが挙げられます。
少子化を受け人材不足が叫ばれる労働市場ですが、介護業界全体として、賃金水準が低く、肉体労働や夜間勤務など労働環境が過酷であるため、人材確保が恒常的に難い状況にあります。また、施設間の介護資格保有者の争奪戦も激しさを増しており、苦労して採用してもすぐに辞めて転職してしまうという離職率の高さと再度募集を行うことによって発生する人材派遣会社に対する広告料も収益を圧迫する要因となっております。
また、特にグループホームでは夜勤の方・ケアマネージャーの方の確保が全国的に課題になっています。特に夜勤の不足は深刻で、人員を集められずに稼働できず、経営者が恒常的に夜勤に入り続けるなどで、運営をなんとか継続しているグループホームの事例も多く発生してきております。
グループホームのM&Aの現況
グループホームの売り手
上述のとおり、人手不足による稼働率の低下やコスト増による収益の圧迫により、グループホームの経営が困難になる事業者様や、将来性を考えると後継者の選定に難航してしまう事業者様からのご相談が多く寄せられております。
グループホームの買い手
グループホームはその独自性の高い業態の特徴から、グループホームを既に運営している事業者がさらなる規模拡大を考え譲受を検討する傾向が強い事業となります。そのため、規模の大きい介護事業者、医療法人、社会福祉法人など幅広い事業者が非常に前向きに譲受を検討し、弊社に相談を頂いております。
グループホームM&Aの特徴
グループホームは総量規制がかけられている業態であるためM&Aで営業権を事業譲渡する場合、行政(市町村)とのやり取りに注意が必要になります。手軽に譲渡・譲受が行いにくい業態になりますので、豊富な成約実績から行政との折衝に独自のノウハウを有している当社にご相談ください。
グループホームの売却価格の相場
介護事業の各業態・立地・従業員の雇用状況により事業価値の評価方法が変わってくるため、当社の簡易査定を是非お気軽にお試しください。また、機械的な査定に留まらない詳細な査定をご希望される場合もあわせてお問い合わせください。
なお、グループホームの土地・建物を自社で保有している場合、その不動産は譲渡対象とならないことが一般的です。その場合、買い手は売り手より土地・建物を賃借することになるため、グループホーム事業を売却後も継続して賃料収入を得ることが可能となります。一方、不動産ごとの譲渡を希望する場合、その不動産価値も事業価値に反映いたしますのでお問い合わせください。
グループホーム売却相談の理由
グループホームの売却を考える理由として、ご相談いただくことが多い理由は以下のようなものがあります。
- 健康問題や高齢のために、事業を引き継ぎたいが後継者がいない
- 夜勤の人員確保が年々困難になり経営者が夜勤に入り続けなければならない
- ケアマネが突然退職してしまい後任の確保が難しい
- 介護事業部門や子会社を売却することで事業の選択と集中を進め、本業に専念したい
- 社員の雇用確保、利用者に迷惑をかけないようにするために、資金力や組織力のある大手企業の傘下に入りたい
- 不動産の大規模修繕が必要だが投資負担が大きく費用が捻出できない
- 小規模事業でキャリアアップ、給与アップの余地が限定的なため若い従業員が定着せずにすぐに退職してしまう
- 創業者利益を獲得したい
上記お悩み事について介護業界M&A実績No.1の当社が解消いたします。是非お気軽にご相談ください。