2024年12月11日
事業運営
令和7年度職場環境等要件を満たすために〜生産性向上〜

令和7年度職場環境等要件を満たすために
〜生産性向上〜

【目次】

  1. 1.令和7年度以降の職場環境等要件が激変
  2. 2.業務改善のプロセスを順番に進めること
  3. 3.生産性向上委員会の設置と課題分析
  4. 4.5Sの実施プロセス
  5. 5.まとめ

1. 令和7年度以降の職場環境等要件が激変

令和7年度以降の介護職員等処遇改善加算の算定要件が大きく変わる。特に、職場環境等要件として、生産性向上がクローズアップされている。 この点を難しく捉えて、3つ以上の実施が求められる処遇改善加算区分ⅠおよびⅡを諦めて、区分ⅢまたはⅣを算定するという声も聞くようになった。

生産性向上と言うと、介護ロボット、見守りセンサー、インカム、介護記録ソフトなど、どちらかというと高額な設備投資を求めるイメージが強い。 そのため、小規模事業者は、ハードルが高いと捉えがちである。

介護職員等処遇改善加算の算定要件として、職場環境等要件で求めている生産性向上は、業務改善のプロセスを順番に進めることを求めているだけである。 その点に気づくと、安心して上位区分を算定出来るだろう。また、法人で事業所が一カ所しか無い小規模事業者には特例が設けられている。 介護施設等では、令和6年度介護報酬改定で創設された生産性向上推進体制加算を算定することで、生産性向上の要件を満たすという特例もある。

2. 業務改善のプロセスを順番に進めること

生産性向上のための取り組み

職場環境等要件として求めている生産性向上は
⑰ガイドラインに基づき、委員会、プロジェクトチームを作ること
⑱課題分析
⑲5S活動
⑳業務標準書
ここまでが、アナログのプロセスの見直しの部分である。

㉑介護記録ソフト
㉒介護ロボット
この部分が、ICT化である。

㉓介護助手
この部分は、役割分担での業務改善である。

そして、
㉔委員会の共同設置等

この㉔が、法人で事業所が一カ所しか無い小規模事業者には特例となっている。小規模事業者は、この要件を満たすだけで足りる。

業務改善のプロセスは、⑰・⑱・⑲への取り組みが必要となる。
⑰生産性向上委員会の設置。
⑱委員会で業務フローと書類などを確認して、課題をピックアップして対策を検討する。
⑲その解決のツールとして5Sを活用する。
この⑰から⑱のプロセスに取り組む事で、処遇改善加算の上位区分の算定要件である3つの実施がクリア出来てしまう。

そして、整理、整頓した内容を、業務標準書に落とし込むことで、⑳が達成できる。課題解決にICT化が有効と判断されれば、その導入を進めることで、㉑から㉒が該当することになる。

3. 生産性向上委員会の設置と課題分析

生産性向上委員会を組織して、介護現場の課題や意見などをピックアップする事から始まる。 このとき、この程度で良いだろうという、中途半端な妥協は厳禁である。底の底まで掘り下げて、現場の問題点を根こそぎ、ピックアップすることが重要である。 私情を抜きにして、徹底的に現場の課題を引き出す。その上で、問題点への対応をどうしていくのかを検討して、介護現場の、無理、無駄、ムラを明らかにしていく。 そして、その原因を探ります。このパートは、いわゆる課題分析と言われるもので、⑱が該当する。 問題の解決策としては、ICT化もあるが、まずは、現場に存在する紙を減らすというアナログ的な解決策が必要である。解決策は、いろんなものがある。 ICT機器を導入するまでは、アナログ的な対応で繋ぐという場合もあるだろう。その改善の方法を導き出す技法の一つとして、⑲の5S(ゴエス、ファイブエス)がある。 5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字を取ったものである。

4. 5Sの実施プロセス

⑲の5Sのプロセスについても説明しておく。
⑴ 整理
業務の流れや作業プロセスを整理する。そのプロセスの中で存在する紙の書類を確認する。 作業を進めるに従って、職員が独自に作っている書類が多いこと、重複する書類が多いことに驚くだろう。 また、必要な書類が作成されていないということも判明していく。一通り、作業プロセスと存在する紙の書類や業務を確認し終えたら、次は判別作業に移る。

必要な書類のみ残して、職員独自の書類や重複する書類は、すべて捨てていく。あとで使うかも知れないという書類もあるが、それらは処分の対象である。 判断に迷う物や、使う頻度が極端に少ない書類は、別管理として通常の書類関係から外す。いらないものは全部捨てる。 ダブった書類も捨てる。この仕分けと捨てる作業が、5Sの整理である。

整理のポイントは
・今、必要なものだけにする
・要らないものは、思い切って捨てる
・今、要らないものは遠ざけて保管する

⑵ 整頓
整理の手順で、本当に必要なものだけが残った。5Sにおける第二のステップは、整頓である。整頓の基本は、定置・定品・定量である。 あとで探す手間を省くために、いつも決まった位置に、同じものを置き(定置、定品)、その数は、いつも決められた数にする(定量)。

紙ベースの書類の場合は、決まったルールで、利用者の個人ファイルに書類を綴じて、ファイル書類の保管期間も一定のルールで綴り、期間を過ぎた書類はファイルから外す。 その置き場所も定位置となる。これによって、誰でも書類を取りやすくする配慮である。

整頓は、何をどこに置くかを決めておく。誰でもわかるように表示をする。ラベルを貼る。煩雑に散らばっているものを、きれいに並べ直すだけでは駄目だ。 不要なものを、そこから退ける。必要なものだけを並べて、その内容やルールを、シールを貼ったり、ラベルを付けたりして、分かりやすくしておく。

整頓のポイントは
・常に保管するものを最小化する
・定置、定品、定量の3定を徹底して実行する
・誰でもわかる、取り出せるようにラベルなどの表示を徹底する

⑶ 清掃
使いたいものが、いつでも、すぐに使えるようする。後回しを無くす。 今日は、忙しくて疲れたから、書類を置きっぱなしで帰るとかは一切認めなし。 自分の周りを整理整頓して、使ったものを元に戻して帰る。仕事は、中途半端にやらないということである

⑷ 清潔
常に、小さな乱れがわかるように清潔感を保つ。身の回りが乱れていると、 小さな乱れは、その中で埋もれてしまう。
きっちりと清潔な状態であれば、何かゴミがあったらすぐ分かるようになる。すべての職員が清潔を保つようにしする。
机の上には、帰宅時は何も置かない。これは、夜勤者がチェックする。在宅サービスの場合は、朝の出勤時にチェックする。

⑸ 躾
習慣化するためには、躾が大切である。躾の基本は、挨拶、お辞儀、お礼である。身だしなみ、挨拶、報告連絡相談、時間管理などを含めて、習慣化していく。
そうすることで、非常に行動もシンプルになり、分かりやすくなる。当たり前の事を、当たり前に出来るように習慣化させる。職員一人一人が、何のためにやるかを理解して自らを躾けることが基本である。

これが5Sである。お子さんがいるご家庭では、子供が遊ぶ終わったオモチャを出しっ放しにしていたら、元のあった所に片付けるように躾けるであろう。それと同じである。難しいことは無いのだ。

5. まとめ

生産性向上委員会を設置して、課題分析として問題点をピックアップして、その対策を考える。 そして、5Sの考え方で、仕事の流れをシンプルにして、仕事の流れをシンプルに組み立て直す。これだけで、職場環境等要件の3つの算定要件はクリア出来る。

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/A1_info_B.pdf

ライター紹介
小濱 道博
小濱 道博 氏
小濱介護経営事務所 代表。 一般社団法人日本介護経営研究協会専務理事。 一般社団法人介護経営研究会 専務理事。 一般社団法人介護事業援護会理事。 C-MAS 介護事業経営研究会最高顧問。

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