「2040年に向けたサービス提供体制等の在り方検討会始まる」
一般社団法人全国介護事業者連盟
理事長 斉藤正行
令和7年1月9日に、これからの社会保障制度の構築に向けて大変重要な検討会が開催されました。 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」の第1回目の議論が開始されました。私も構成員の1人として議論に参加しています。
これまで我が国の社会保障制度は、団塊の世代が後期高齢者(75歳)を迎える2025年より高齢者問題・介護問題の需要が急速に加速することが想定されるため、 2025年までに地域包括ケアモデルを確立することを中期ビジョンに掲げて様々な制度改革が行われてきました。 その2025年をついに迎えて、政府は新たに2040年に向けた長期ビジョンを掲げて、これからの制度見直しを行っていくこととなります。
2040年代に高齢化率は、30%代の後半となるピークを迎えます。ピークに向けて引き続き、全国全体の総数としては高齢者・要介護高齢者は増加し続けることとなりますが、同時に、生産年齢人口は2割の減少となります。 更には、地域によって人口構造は大きく異なることになります。都市部を中心として引き続き高齢者が20年以上増加し続ける地域と、逆に中山間地域や過疎地域を中心とした高齢者の減少がすでに始まっている地域と、 その他大多数は今後も一定期間は高齢者が増加し続けるものの、その後は減少に転じる地域と3分類に分かれることになります。介護保険制度は創設来、原則として全国一律のルールで運用をされてきましたが、 これから地域による人口構造の大きな変化を踏まえて、地域に応じてサービス種別や、人員配置要件などのルール見直しも求められることとなり、介護保険制度は大きな転換点を迎えることになります。
今回設置された検討会は、この2040年に向けた新たな長期ビジョン策定に向けた議論を行う場となります。 まずは、高齢者問題を先行的に議論し、今春には中間報告書を取りまとめる予定となっています。その後は、障害・福祉・子どもなどの幅広い体制について議論が行われることとなります。
2025年1月9日に開催された第1回目では、4つの論点が示されています。
- ①人口減少•サービス需要の変化に応じたサービスモデルの構築や支援体制
- ②介護人材確保•定着、テクノロジー活用等による生産性向上
- ③雇用管理•職場環境改善など経営の支援
- ④介護予防•健康づくり、地域包括ケアと医療介護連携、認知症ケア
今後この論点に基づき春頃にまとめられる中間報告書の内容に基づき、次期介護保険法改正・介護報酬改定の議論のベースとなってくるのではないでしょうか。 これからの介護の未来へと繋がる大切な検討会となります。今後の議論のゆくえに大いに注目ください。
厚生労働省
「2040年に向けたサービス提供体制などのあり方」現状と課題・論点について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001371773.pdf