【地域密着型デイサービス】介護への想いはそのままに――家族との時間も大切にできる事業承継という選択
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病院運営の大規模デイサービスで働いていたB様は、「利用者様がその人らしく過ごせる場所をつくりたい」という想いから地域密着型デイサービスを開設。利用者の募集や運営の苦労を乗り越え、13年間にわたり地域に根差した事業を築いてきました。その後、家族との時間も大切にしたいという思いから事業承継を決断し、信頼できる譲受先へ事業を承継されたB様に事業承継についてのお話をお伺いしました。
インタビュアーブティックス株式会社 畑生
地域密着型デイサービスの事業を始められたきっかけは何でしたか?
13年前に事業を始めるまでは、病院が運営する定員60名ほどの大規模なデイサービス事業所で働いていました。当時は利用者様の人数が多く、入浴介助などはどうしても流れ作業のようになってしまう環境でした。また、「ここに座っていてください」「ここで待っていてください」といった業務的なお声がけをせざるを得ないことも多く、今振り返ると、介護職として利用者様一人ひとりと向き合うというよりは、業務を円滑に進めることに重点を置いた働き方だったように思います。
その頃の私は、小規模なグループホームのような介護サービスの存在をほとんど知りませんでした。しかし、そうした施設のことを知り、「お年寄りがその人らしく過ごせる場所があるんだ」と大きな衝撃を受けました。そして、「私自身もそんな場所をつくりたい」と思うようになりました。その後、ある本を読んだ際に、若い方々が民家を活用して介護サービスを始めていることを知りました。それがとても印象的で、「自分にもできるかもしれない」とさらに興味を持つようになりました。
もちろん、やってみたいという気持ちはあっても、実際に事業を始めるためには法人を設立しなければなりません。何から手を付ければよいのかも分からない状態でしたので、近所で事業所の立ち上げを経験された方にお話を聞いたり、自分でも調べたりしながら少しずつ準備を進めました。
最初の事業所は、大工だった主人が自宅を改修してつくりました。私たち家族は主人の実家へ引っ越し、自宅を事業所として活用するという形でスタートしたんです。
従業員さんの採用や指定の許可まで、ほぼおひとりで進められたということで大変なことも多かったと思いますが、運営されていた際の悩みや課題はありましたか?
(利用者様の様子)
本当にすべてが初めての経験でした。管理者の経験もありませんでしたし、営業活動もまったくの未経験でした。事業所を立ち上げることはできたのですが、当初利用を予定していた方が来られなくなってしまい、結果的に利用者様がほとんどいない状態からのスタートとなりました。
事業を始めるにあたり、銀行から200万円を借り入れていましたが、当時は女性経営者ということもあってか、軽く見られたり、悔しい思いをしたりすることもありました。
利用者様を集めるために、8月1日のオープンに向けてスタッフと一緒に暑い中、チラシのポスティングをしたり、地域のケアマネジャーの方々のもとへ足を運んだりしていました。しかし、思うように利用者様が増えず、苦しい時期が続きました。
そんな時、立ち上げの際にお世話になった方へ相談に行ったところ、「一度内覧会をやってみたらどうか」とアドバイスをいただきました。そこで当時唯一利用を希望してくださっていた利用者様と一緒に料理を作り、ケアマネジャーの皆さんをお招きする内覧会を開催しました。実際に事業所の雰囲気や取り組みを見ていただくことで、少しずつ事業所のイメージを持っていただけるようになり、その後は紹介もいただけるようになりました。
この頃から徐々に利用者様も増え、スタッフへしっかりお給料を支払えるくらいまで持ち直すことができたと思います。正直なところ、運営を始めた当初は「逃げ出したい」と思ったこともありました。ただ、始めた以上はやり抜くしかないという気持ちで前に進んでいました。
(事業所の外観)
そこから事業を成長させ、新たな建物を建てて運営できるようになったのは、まさにB様の積み重ねの結果だと思います。事業承継については、いつ頃から考え始められたのでしょうか?
実は事業承継については3年ほど前から考えていました。ただ、一度失敗してしまった経験があるんです。
インターネットで見つけた会社へ依頼したのですが、「M&Aはすぐにできます」と言われて進めた結果、買い手と仲介会社が結託していたような状況でした。最終的には裁判になりましたが、相手は裁判所にも来ないような状態でした。
その経験から、「やはり騙されることもあるんだな」という気持ちになり、その後は事業承継について考えることをやめて事業運営を続けていました。
しかし、「これから自分はどうしたいのか」向き合ったときに、これまでなかなかとれていなかった家族との時間も大切にしたいという思いが出てきました。家族旅行に行くこともほとんどありませんでした。事業を立ち上げたときは強い思いだけで走ってきましたが、その一方で家族に負担をかけてきた部分も気になっていました。だからこそ、本当に自分が望む生き方を考えた結果、「もう一度事業承継に挑戦してみよう」と思うようになりました。
まずは介護業界で名前を知っていた会社に問い合わせをしたのですが、なかなか返事がなく、話が進まない状況が続いていました。
そんな時に畑生さんからお電話をいただきました。以前からお手紙をいただいている会社さんだということを知っていたので、「一度話を聞いてみよう」と思って並行して相談を始めました。
実際にお話をする中で、畑生さんはとても親身に対応してくださいました。これまで接してきた方々とは違うと感じ、「お願いしてみようかな」と思うようになりました。
譲受先様もおっしゃっていましたが、本当に畑生さんに担当していただけて良かったと思っています。
(利用者様と従業員様の手元)
ありがとうございます。今回の譲受先様とのご面談はいかがでしたか?
正直な人なんだなという印象がありました。畑生さんが見つけてきてくださったお相手という信頼もありましたし、お話をする中で優しさと事業を引き継ぐやる気や覚悟を感じました。その後も何度か現地でお会いしたり、やり取りを重ねたりする中で、「この方なら信頼できそうだ」と感じるようになりました。
他にも譲受を希望される方はいらっしゃいましたが、今回の譲受先様をご紹介できて本当によかったなと思います。譲渡後はどのように過ごされていますか?
全体を振り返ると、今回の事業承継は非常にスムーズに進めることができたという印象があります。銀行とのやり取りについても、畑生さんが説明をしてくださったり、一緒に同行してくださったりしたので、とても安心感がありました。終盤には追加の書類提出などがあり多少慌ただしくなった場面もありましたが、それでも全体としては非常にスムーズだったと思っています。
現在は主人が引き続き管理者として勤務しており、譲受先の方へさまざまなことを引き継ぎながら一緒に進めている状況です。
私はというと、以前と比べて家で過ごす時間が格段に増え、家族と過ごす時間も多くなりました。先日は家族4人で久しぶりに旅行へ行くこともできました。主人が本当に喜んでいて、その姿を見たときに私自身もとても嬉しい気持ちになりました。
旅行がお好きだと伺っていたので、ご家族で久しぶりに旅行へ行けたというお話をお聞きし、私も大変うれしく思います。
最後に事業承継やM&Aに悩まれている介護事業者の皆様へメッセージをお願いいたします。
経営者それぞれで状況は異なると思いますが、事業承継やM&Aを検討しているのであれば、まずは一回相談してみることをお勧めしたいです。実際にお相手を探してもらい、会って話をしてみて、そのうえで最終的にどうするかを決めれば良いと思います。相談したからといって無理に進めなければならないわけではありませんし、必ず決断を迫られるわけでもありません。
良い相手と巡り合うことができれば、自分自身にとっても、利用者様にとっても、そして職員の皆さんにとっても良い結果につながる可能性があると思います。辛い思いを抱えながら経営を続けるだけが選択肢ではなく、信頼できる方へ託すという選択肢もあると思います。私自身、今回畑生さんと出会うことができ、さらに譲受先の方ともご縁をいただき、本当に感謝しています。
B様のご協力があったからこそ実現したマッチングだったと思います。こちらこそありがとうございました。
