介護経営コラム

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「大変革のゆくえ!全国一律の介護保険制度の見直し、
 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」

更新日:2026年8月31日
「大変革のゆくえ!全国一律の介護保険制度の見直し、 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」

1. 社会福祉法等の一部を改正する法律が可決

社会保障審議会介護保険部会において昨年議論を重ねて、令和7年12月25日に「介護保険制度の見直しに関する意見」が取りまとめられ、その意見に基づき『社会福祉法等の一部を改正する法律案』が、今年の初めより開かれた臨時国会において審議され、無事に衆議院及び参議院で可決されました。可決された法律案は、来年4月以降に順次で施行されることとなります。

この決議された法律の中で、大きな注目となっているのが、「特定地域サービス・特定地域居宅サービス等事業の創設」です。中山間・人口減少地域では、「高齢者人口の減少」「生産年齢人口の減少による介護人材の確保の困難」が進んでおり、必要なサービスを維持するため、地域の実情に応じて柔軟なサービス提供を可能とする仕組みを設けることが必要となっています。そのような背景から、報酬の仕組みや、人員配置要件等を従来とは異なる仕組みで運営される特例介護サービスが創設可能となりました。

この意味は非常に大きなものがあり、従来全国一律であった介護保険制度が地域ごとに異なる仕組みとなる一大方針転換を意味しており、その段階的な見直しが来年4月よりスタートすることとなります。

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2.2027年介護報酬改定における人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築に向けた最新動向

法改正によって特例介護サービスを創設することが可能な要件が整えられたことを受け、令和9年度(2027年)介護報酬改定において、具体的に、どのようなサービス分類の要件を見直すのか。どのよう報酬体系や基準とするかの検討が進められることとなります。令和8年7月23日に開催された介護給付費分科会において「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」というテーマに基づき、まず1回目の議論が開始されることとなりました。

この議論の中では、人口減少地域の現状の確認とともに、中山間・人口減少地域の定義や考え方の整理の方向性が示されました。そして、中山間・人口減少地域における特例介護サービスでの人員配置要件の考え方について、今後の議論の論点がいくつか示されました。

示された論点の中では、介護職の配置基準の要件緩和は、これまで様々な場面で議論し、多くの調査によるエビデンスを提示し、慎重な政策決定プロセスを経ている状況でもあり、要件緩和にはまだまだ否定的な意見も多いことから、まずは、「管理者」及び「専門職」の要件緩和の議論が先行される方向性が示されました。また、『配置基準の弾力化については、介護保険部会の意見を踏まえ、現行の基準該当サービスの対象となるサービス(訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、短期入所生活介護、福祉用具貸与、居宅介護支援、それぞれ予防を含む) や、施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)、居宅サービス(特定施設入居者生活介護)を念頭に置いて検討してはどうか。』との論点が示されており、地域密着型サービスは今回の議論の対象からは外れる方針となりそうです。

そして、もう1つ重要な議論テーマが、中山間・人口減少地域における訪問介護の包括報酬の検討です。移動に多くの時間が必要となり、非効率な運営になりがちな地域において、現行の時間数ごとの報酬単位数ではなく、包括報酬との選択制を検討する方針が示されています。全国100か所以上の市町村で訪問介護が1事業所も存在していない状況改善を図ることが目指されています。分科会で示された論点では、『通常の指定サービスよりも一層、事務負担の軽減を図ることが必要であると考えられるところ、各種加算の包括化について、区分支給限度額との関係も踏まえつつ、どのように考えるか。』とされました。加えて、『サービスの利用状況に見合った報酬となるよう、例えば、利用回数・利用形態等を考慮した複数段階の報酬設定とすることが考えられるが、どのように考えるか。』と示されており、全ての事業所で一律での包括報酬単位ではなく、訪問頻度などを踏まえた段階的な包括報酬が検討されることになります。更には、『事業者が必要なサービス提供を控える等のモラルハザードを抑制する観点から、例えば、保険者である自治体が事業所と連携し、随時、サービス提供状況の確認を行うことや、ケアマネジャーを始めとする地域の関係者と事業所との連携体制を確保するなど、外部の目が入る仕組みとするといった方策が講じることが考えられるが、具体的にどのような対応を行うことが考えられるか。』と示されており、サービスの仕組みへの外部点検体制の構築が重要であるとされています。


3. 今後の介護保険制度改革及び事業者への影響を考察

本件については、更に介護給付費分科会において、年内までの報告書取りまとめに向けて議論が重ねられることとなります。とはいえ、これまでの議論の状況を鑑みると、今後の介護保険制度改革にとって大きな影響を及ぼすことからも、安易な要件緩和には慎重な意見も多く、かなり限定的な形でのスタートとなる可能性が高いと思います。

しかしながら、限定的なスタートであったとしても全国一律の介護保険制度の見直しに繋がる大きな一歩となることは間違いありません。来年4月を皮切りとして、その後も3年後の法改正や報酬改定においては、大都市圏における特例介護サービスの創設など更なる見直しへと繋がっていく可能性が高いことからも、介護関係者にとっては、大変に大きな影響を及ぼすこととなり、今後の議論のゆくえに大いに注目していきたいと思います。

ライター紹介
斉藤 正行
斉藤 正行 氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
立命館大学を卒業した後、株式会社ベンチャー・リンクに入社。飲食業のコンサルティング、事業再生などを手がける。 その後メディカル・ケア・サービス株式会社に入社し、「愛の家」ブランドでグループホームを全国に展開し、取締役運営事業本部長に就任。 2010年に、株式会社日本介護福祉グループへ入社。「茶話本舗」ブランドで小規模デイサービスをフランチャイズ展開し、取締役副社長に就任。 2013年に、株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。 一般社団法人日本介護ベンチャー協会の代表理事、介護業界最大級のイベント「介護甲子園」を運営する一般社団法人日本介護協会副理事長、 その他にも多くの介護関連企業・団体の役員・顧問を務めている。


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