介護経営コラム

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2027年介護報酬プラス改定へ大きく前進!
骨太方針2026原案が示す改定のゆくえ

更新日:2026年7月17日
2027年介護報酬プラス改定へ大きく前進!骨太方針2026原案が示す改定のゆくえ

1.骨太方針2026の策定に向けて

現在、「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」の閣議決定に向けて最終調整が行われています。「骨太方針」とは、政府による経済と財政運営の関する基本方針であり、毎年春に策定され閣議決定されますので、「骨太方針」に記載された内容は確実に政策実現に向けて推進されることから今後の社会保障制度改革のゆくえを確認する上でも大変重要であります。

「骨太方針」は毎年注目すべきでありますが、来年4月に予定されている令和9年度(2027年)介護報酬改定に向けて直前となるのが「骨太方針2026」であり、いつも以上に今回は重要度が高く、どのような記載がされるかによって、次期報酬改定の方向性が決定づけられることになります。

その「骨太方針2026」の策定に向けて財務省は、主幹する財政制度等審議会財政制度分科会(通称は財政審)を令和8年4月28日に開催し、『介護事業者の利益率は他産業と比較しても高い水準にあることから、次期介護報酬改定は適正化(マイナス改定)すべき』との意見提言が行われるなど、政策決定における綱引きが激しくなっており、議論の決着に注目が高まっています。

2.骨太方針2026原案の読み解き

そして、今回令和8年6月30日に「骨太方針2026」の原案が示されました。そこに記載された文言は、2027年介護報酬改定でのプラスを示唆する内容であると読み解くことが出来ます。昨年10月に誕生した「責任ある積極財政」を標ぼうする高市政権において初めての骨太方針の策定となることからも大変注目されています。

この度示された原案の中では、従来とは大きく異なる方針が示されています。まず、予算策定において、単年度ではなく、複数年度で捉えることで中長期視点に基づく投資が重要視されることとなります。また、財政規律を整えることは重要としながらも、短期的なプライマリーバランスの黒字化を求めない姿勢が示され、必要な領域への積極投資と、抑える領域とのメリハリがこれまで以上に意識されることとなります。

その中で、介護分野において、最も重要な記述は以下となります。「次期介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定では、介護・障害福祉分野の賃上げの状況や介護・障害福祉サービス等事業者の経営状況等を把握した上で、物価の変動に適切に対応するとともに、他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る。」と記されています。物価変動への対応が示されており、つまりは基本報酬単位の引上げを示唆していると読み解くことができます。合わせて、他産業と同水準の処遇改善を目指すことが示されており、更なる大幅な処遇改善加算の拡充が示唆されています。財務省によるマイナス提言を退けて、次期介護報酬改定における全体改定率と処遇改善加算の大きなプラスに向けて、期待値は高まったと言えます。

一方で、当然ながら、財務省の思惑もしっかりと盛り込まれています。特に留意すべき箇所は、社会保障全体に対して、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくとの方針を実現するため、マクロ的な社会保障負担率の目標について検討を進め」と表記されており、引き続きの必要な適正化に向けた改革を進めるともに、最も懸念すべきは『マクロ的な目標』を定めるとの表現であり、つまりは、いかに物価高とはいっても無制限な報酬増にはしない。国民が支払う社会保険料に一定水準の目標値を示すことは、つまりは社会保障費にキャップをはめるという意味もあり、この目標値いかんでは、まだまだ全く予断の許せない状況にあるとも言えます。もちろん、私自身としても中長期的な視点での財政健全化は不可欠であると思っており、野放図な支出拡大は抑え、介護・福祉の場面においては、生産性向上、自立支援・重度化防止、科学的介護などの推進を図り、制度改革とともに、現場改革も必要であると考えています。

3.2027年介護報酬改定に向けたこれから

今後は、今回示された原案に基づき、最終調整が行われ、7月中には閣議決定され、「骨太方針2026」が正式確定することとなります。上述した記述内容はいかされつつ、更に追記されることになると思いますので、追加項目に着目していきたいと思います。

いずれにせよ、繰り返しとなりますが、従来政権とは異なる予算方針が示され、次期介護報酬改定における大きなプラスに向けて前進したことは間違いありません。この流れを踏襲し、秋頃の全体改定率決定における攻防戦を経て、何としても介護・障害福祉ともに過去最高の大幅プラス改定を実現すべく、関係団体が一致協力しロビー活動を進めていく必要があります。

介護給付費分科会による議論は、全てのサービスの1巡目の議論が終えました。まだ1巡目の段階では、現状課題の整理と総論的な論点が示されたところです。今後は処遇改善などサービス横断的なテーマの議論と、関係団体によるヒアリングが行われ、秋からはサービスごとに2巡目、3巡目の議論となりいよいよ具体的な改定の詳細がつまってまいります。12月には報告書が取りまとめられ、同時に来年度予算案が示され、全体改定率が決定することとなります。いよいよこれから年末までは業界にとっては最大の山場を迎えることとなります。年末までの動向に是非とも着目ください。

ライター紹介
斉藤 正行
斉藤 正行 氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
立命館大学を卒業した後、株式会社ベンチャー・リンクに入社。飲食業のコンサルティング、事業再生などを手がける。 その後メディカル・ケア・サービス株式会社に入社し、「愛の家」ブランドでグループホームを全国に展開し、取締役運営事業本部長に就任。 2010年に、株式会社日本介護福祉グループへ入社。「茶話本舗」ブランドで小規模デイサービスをフランチャイズ展開し、取締役副社長に就任。 2013年に、株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。 一般社団法人日本介護ベンチャー協会の代表理事、介護業界最大級のイベント「介護甲子園」を運営する一般社団法人日本介護協会副理事長、 その他にも多くの介護関連企業・団体の役員・顧問を務めている。


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