「有料老人ホームのこれからの未来」
一般社団法人全国介護事業者連盟
理事長 斉藤正行

令和7年4月14日に『有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会』の第1回が開催されました。有料老人ホームに対しては、今、厳しい目線が向けられています。以前より、集合住宅や住宅型有料老人ホームに対しては、過剰サービスや、いわゆる「囲い込み問題」に対して、更なる減算措置の必要性の検討の有無や、監督・指導体制のあり方が問われています。また、昨今は報道において、ホスピス型の有料老人ホームの不適切な運営や不正に対する指摘や、老人ホームの紹介センターの在り方に対しても厳しい論調が記事化されています。そのような状況の中で、今回の専門検討会が設置され、これからあるべき姿が議論されていくこととなります。
論点には、様々なテーマが想定されており、例えば、
•老人ホームの役割の整理
•集合住宅、住宅型有料老人ホームにおける過剰サービス、囲い込み問題について
•ホスピス型ホームについて
•老人ホーム紹介センターの在り方
などなど、今、大注目のテーマが目白押しとなっています。しかしながら、今後の議論の中で、留意していくべきは、ホスピス型の有料老人ホームにおける不適切な運営や、集合住宅における過剰サービスなどの問題ある運営を行っている老人ホームに対しては、改善に向けた厳しい対応が必要であることは間違いありませんが、
一方で、一部の問題ある事業所の悪影響から、健全な運営を心がけている多くの老人ホームに極端な悪影響が生じてしまうようなルールの見直しが行われてしまうことです。
この専門検討会には、私が代表を務める全国介護事業者連盟からも参加していますので、しっかりと現場視点による声を上げていきたいと思っています。また、有料老人ホームの紹介センターについても、ホスピス型の有料老人ホームにおける報道に関連して、一部の地域において、医療依存度の高い利用者等に対する極端に高額な手数料が散見されているケースをはじめてとして、業界の細かな悪しき対応が取りざたされています。こちらも問題は正すべきであることは言うまでもありませんが、紹介センターの業界全てが問題であるかのように取られかねない報道の在り方には疑問を感じる点があります。ただし、紹介センターについては、老人ホームの運営とは異なり、現時点では公的に定められたルールが存在しないことから、自浄作用が働き難い構造的な課題も抱えており、この度の専門検討会での議論は大変重要であると感じています。
いずれにせよ、この専門検討会の議論のゆくえが、次期介護保険法改正や報酬改定にも大きな影響を及ぼすことは間違いないことであり、今後の議論のゆくえに着目していきたいと思います。