介護事業者は年初からやる事がてんこ盛りである。
1月6日13時より、介護サービス経営情報提出が始まった。提出期日は3月末で、今回の提出対象法人は2024年3月から12月決算法人である。
社会福祉法人についても報告が必要である。病院や介護老人保健施設に併設する、みなし指定事業所も同様である。居宅療養管理指導や養護老人ホーム、介護予防支援は対象外となった。
期日までに提出をしない場合は、期間を定めて報告もしくは内容を是正することを命ずることが出来るとされている。
その命令に従わない時は、指定の取消もしくは業務停止の処分が出来るとされた。この規定は、介護保険法の本法にある。
ここで問題となるのは、介護サービス事業者の7割が小規模事業所であることだ。会計事務所の使い方も、領収書を丸投げすることでの単なる記帳代行を依頼しているケースも多い。 事務員がいない法人も多く存在する。経理事務は、代表者自らか家族が行っているような経営者の多くは、財務諸表の読み方が分からないのが現実である。 会計事務所などに、経営情報提出の代行サービスの提供を期待する声が業界内から聞こえてくる。しかし、1月から3月に掛けては、会計事務所にとっては確定申告時期と重なる。 このため、介護事業者のニーズが多い代行サービスの提供は、時期的に難しいと言われていた。
経営情報の提出方法は、介護経営データベース(介護経営DB)が整備された。ここに手入力するか、会計ソフトでCSVファイルを作成して、電子データとして送信する形となる。 経営情報の提出作業に当たっては、GビズIDプライムのアカウント取得が必要である。GビズIDは以前から存在する。この特徴として、第三者への外部委託がシステム上で可能あることもご存じかと思う。 しかし、今回の経営情報提出については、この外部委託機能が利用できないことがアナウンスされた。 これよって、提出代行サービスの提供が、一気に困難となった。
今年度から改正された情報公表制度における届出事務も、提出項目に大きな変更があったために従来よりも作業負担が大きくなっている。 特に財務情報については、提出したままの状態で一般公開されるので注意が必要だ。 法人一括での提出はぜずに、簡便的にでも会計区分処理を実施して、事業所毎の税務情報に分割すべきだろう。
2月末に予定されている新年度の処遇改善計画書と新たな支援補助金の計画書も事務負担が大きい作業である。 処遇改善計画書については、主な特例措置が一年延期され、生産性向上への取り組みも、2025年度中に実施する旨の誓約で良いことになったが、一年以内に実施することが必須となっている。 支援補助金の計画書においても、生産性向上への取り組みについての実施計画を立案することが要件とされている。 すべての介護事業者において、生産性向上は、もはや避けては通れない緊急課題となっている。そのキーとなるのが、生成AIの活用にあると考えている。
そして、2024年12月23日より、介護保険部会において、2027年度の介護保険法改正審議が始まった。この動きは、例年より4ヶ月ほど早い。 それだけ、次回の改正テーマが多いと言うことだ。今年12月には審議の取りまとめが行われて、来年春には通常国会で成立する。 本部会での議論の前に、2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会、ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会などにおいて、次期改正に向けた議論も始まっている。 次の制度改正対策も今年の重要課題である。しっかりと最新情報にアンテナを張る必要がある。2027年度介護保険制度改正は、大規模な改正が予想される。
【2027年介護保険法改正の論点】
第116回社会保障審議会介護保険部会の資料について
資料;主な検討事項 (案 )について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001360719.pdf